ホテルマンを目指している方のなかで、特別な資格が必要かどうか気になる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、ホテルマンの就職に必要な資格はありません。ただし、ホテルビジネス実務検定やホテル実務技能認定、ホテル・マネジメント技能検定などの資格を取得すると、業務やキャリアにおいて有利になる可能性があります。
この記事では、ホテルマンの各業務に役立つ資格の種類や特徴などをわかりやすく解説します。
ホテルマンになるためには資格が必要?
ホテルマンには、特別な資格が必要というわけではありません。
一般的な企業と同様に、採用試験に合格すれば資格がなくても働けます。大卒はもちろん、専門卒や高卒で就職する人が多い他、アルバイトやパートから正社員になるケースも少なくないです。
契約社員や派遣社員を経て、正社員として採用されるパターンも珍しくありません。
どの段階でホテルに就職するにしても特別な資格は必要ないため、誰でも挑戦できます。ホテルを運営する企業も、就職した段階で教育・研修を実施してくれるため、未経験からでも働くことが可能です。
ただし、ホテルマンが取得しておくと有利な資格がいくつかあり、自己研鑽のためにも取っておくと良いでしょう。
特に、以下の4つの部門に関する資格は取得しておくと有利です。
- ホテル業務に関する資格
- 語学に関する資格
- 飲食に関する資格
- 施設管理に関する資格
ホテルマンとしてキャリアアップを目指している場合は、自分が担当している業務に関する資格を取得することを検討してみてはいかがでしょうか。
ホテル業務に関する資格
ホテル業務で働くならホテルビジネス実務検定、ホテル実務技能認定、ホテル・マネジメント技能検定、ユニバーサルマナー検定、サービス接遇検定の取得がおすすめです。
ここでは、ホテル業務に関する資格について詳しく解説します。
ホテルビジネス実務検定
ホテルビジネス実務検定は、宿泊や飲食といった現場でのサービス能力や問題管理能力、マーケティング・総務人事・経理会計など経営でのマネジメント業務に関する技術・知識を習得する検定です。
通称「H検」と呼ばれ、ベーシックレベル1級・2級とマネジメントレベル1級・2級に分かれています。
ベーシックレベルはホテルへの就職・転職を希望している人に向けての検定で年2回実施、マネジメントレベルはホテル業界の管理に回りたい人に向けての検定で年1回実施されています。
どちらもホテル業界を総括する体系的理解度を測定するための検定となっているため、すでにホテル業界で働いている人が取得しても良いかもしれません。
今後もホテルマンとして実績を積みたい人は、取得しておくのが望ましいです。
ホテル実務技能認定
お客様への応対、宿泊、飲食などホテル業界における専門分野の技術や知識の習得を目的としているのが、ホテル実務技能認定です。
ホテルの実務に関する検定で、サービスの基本的な業務やコミュニケーションに関する語学力、言葉遣い、接客マナー、歴史・文化、旅行など関連業界の動向を理解しているかを測定します。
ホテルで働く場合、「H検」を取得する人が多いですが、あわせてホテル実務技能認定を受ける人が少なくありません。
ホテルマンとしてキャリアアップを目指すなら、取得しておいて損はない資格といえるでしょう。
ホテル・マネジメント技能検定
ホテル・マネジメント技能検定は、学科試験と実技試験で正答率60%以上に達すれば合格となるホテルのマネジメントに特化した検定です。
1級は11年以上の実務経験がある人、2級合格者で6年以上の実務経験がある人、3級合格者で8年以上の実務経験がある人と条件はやや厳しめに設定されており、事業運営の視点からスキルが求められます。
2級は6年以上の実務経験がある人、3級合格者で5年以上の実務経験がある人が対象で、業務運営視点からのスキルを判定されます。
3級はホテル・旅館に勤務している人や勤務を希望している人が対象で、作業管理視点からのスキルを判定されるのが一般的です。
等級により求められるスキルが段階的に変わるため、初めて受験する人は「3級→2級→1級」という順番で取得するのが良いでしょう。
ユニバーサルマナー検定
高齢者、障害者、ベビーカー利用者、外国人など、多種多様な人々の立場に立って行動するために必要なアクションやマインドを身につけるための試験がユニバーサルマナー検定です。
1級では認知症対応マナー、LGBT対応マナー、ユニバーサルコミュニケーションなどについて学び、イベントや体験に参加して当事者の声に触れ、レポート試験で合否が判定されます。
2級は3級取得者が対象で、車椅子操作などの実践的なサポート方法について学び、3級は誰でも受験可能で、高齢者や障害者への基本的な向き合い方や声かけ方法、各種マークについて学びます。
ハンディキャップを背負った人に適切に対応するための技術・知識が学べるため、ホテルマンとして取得しておくと評価アップにつながるでしょう。
サービス接遇検定
サービス接遇検定は、サービス業務におけるマナーや心構え、応対の技術、対人心理の知識を審査するための検定です。
1級・準1級・2級・3級に分かれており、段階的にサービス接遇に関する理解度が求められます。
3級ではサービス接遇実務の初歩的理解と基本的なサービス技能、2級ではサービス接遇実務の理解と一般的なサービス技能が筆記試験、準1級では面接試験が実施されます。
ただし、1級は筆記試験に加えて面接試験があり、サービス接遇実務の高度な技術と知識、専門的なサービス能力が必要です。
面接試験では2人1組のロールプレイングを行いますが、合格率は約30%前後と決して簡単ではないため、取得する場合は事前の勉強が必須です。
語学に関する資格
ホテルマンとしてキャリアアップを目指すなら、語学に関する資格があると便利です。ここでは、ホテルマンが取得しておきたい語学に関する資格について詳しく解説します。
TOEIC
TOEICは、英語によるコミュニケーション能力をスコア判定する試験です。世界の約160カ国で実施されており、英語に関する検定のなかではトップクラスの権威を持つ試験となっています。
テストはスピーキング・ライティング・リスニング・リーディングに分かれており、受験する内容によって認定されるスキルが変わるため、どの項目の試験を受けるか自分自身に合わせて選びましょう。
基本的には、以下のテストが主流です。
- TOEIC Listening & Reading Test
- TOEIC Speaking & Writing Tests
- TOEIC Speaking Test
- TOEIC Bridge Listening & Reading Tests
- TOEIC Bridge Speaking & Writing Tests
以上の他にも項目ごとに受験できるテストが用意されているため、自分自身の英語力に合わせて受験することを推奨します。
観光英語検定
観光業務で必要な英語能力を認定するための試験が、観光英語検定です。最近急増している外国人観光客に対応するための資格で、ホテル業界でも注目されています。
試験はライティングとリスニングがメインですが、1級を取得するためにはネイティブとの英語での面接試験があります。
ただし、1級を受験するためにはTOEICスコア600~860、英検準1級~1級程度のスキルが必要となるため、2級もしくは3級から段階的に挑戦するのが良いでしょう。
2級だとTOEICスコア470~600の英検2級程度、3級だとTOEICスコア220~470の英検3級程度のスキルが必要となります。
まずは自分自身の英語能力に合わせて、挑戦してみてはいかがでしょうか。
実用英語技能検定
実用英語技能検定は、文字通り実用的な英語を学ぶための検定です。
学問としての英語というよりは、実践的に使える英語力を試される試験で、ホテルマンのように現場で働く人におすすめの資格です。
英語系の資格はTOEICと観光英語検定があれば十分ですが、より実用的な英語を学びたい人は実用英語技能検定の取得をご検討ください。
その他各国の言語検定
その他、韓国人観光客・中国人観光客に対応できるよう、韓国語能力試験や中国語能力試験など各国の語学検定を受けておくのも良いかもしれません。
日本にはアメリカやヨーロッパなどからの観光客が少なくないですが、やはり韓国や中国など近隣からの観光客が多いです。
最近では東南アジアからやってくる観光客もいるため、各国に対応できるよう宿泊客の傾向を見ながら語学を勉強しておくと役立ちます。
飲食に関する資格
ホテルの飲食部門での就業を目指すなら、レストランサービス技能検定や調理師免許、ソムリエ・ワインエキスパート、酒ディプロマなどの資格を取得しておくと良いでしょう。
ここでは、飲食に関する資格について詳しく解説します。
レストランサービス技能検定
料飲サービスの技術・知識のグレードを証明する国家資格が、レストランサービス技能検定です。
試験に合格するとレストランサービス技能士として就業でき、ホテルに併設されたレストランでホールスタッフとして勤務する際に役立ちます。
試験は学科と実技の両面から測定され、3級で実務経験1年以上、2級で実務経験3年以上もしくは2級合格後に2年以上の実務経験が求められます。
1級ともなると実務経験11年以上、2級合格後に4年以上の実務経験、3級合格後に10年以上の実務経験が求められるため、受験するだけでも難関です。
ただし、学歴によって実務経験年数が短縮されるため、大卒の人ほど取得しやすい資格といえるでしょう。
調理師免許
調理師免許は、調理の技術や知識の他、食品の衛生や食材の栄養に関するスキルを証明する国家資格となっています。ホテルのレストランの調理場で働きたい場合は、ぜひ取得しておきたい資格です。
試験は筆記試験がメインで、試験科目は公衆衛生学、食品学、栄養学、食品衛生学、調理理論、食文化概論の6つ、全科目の合計得点は60%以上と比較的難しい資格といえるでしょう。
ソムリエ・ワインエキスパート
ソムリエ・ワインエキスパートは、ワインなどお酒に関する専門的なスキルを認定する資格です。
ホテルでソムリエとして働きたい人にとっては必須級の資格となっています。
満20歳以上で酒類や飲食に関わる業務(提供・仕入れ・管理・輸出入・流通・販売・製造・教育機関講師・コンサルタント業務)に3年以上従事している人が対象です。
酒ディプロマ
日本酒などの専門的なスキルを認定する資格が、酒ディプロマです。ホテルで日本酒を提供する場面で求められる資格となっています。
2017年から始まった比較的新しい資格ではあるものの、2018年にはロンドンで試験が開催されるなど今勢いのある資格の一つです。
施設管理に関する資格
施設管理を担当したい人は、電気工事士、ボイラー技士、危険物取扱者、消防設備士、防火管理者などの裏方の資格を取得するのが望ましいです。
ここでは、施設管理に関する資格について詳しく解説します。
電気工事士
電気工事士は、電気設備の工事、保守点検を行う技術と知識を証明する国家資格です。
第一種と第二種に分かれており、第二種では600V以下で受電する場所(一般住宅・小規模な施設・店舗)の一般用電気工作物の工事に従事できます。
第一種では、第二種に加えて自家用電気工作物(最大電力500kw未満)の場所の工事に従事できます。
ホテルで電気系統の管理を行いたい場合は、電気工事士の資格を取得しておくのが望ましいです。
ボイラー技士
ホテルに設置されたボイラーを取り扱う際に必要な技術と知識を証明する国家資格が、ボイラー技士です。1級と2級に加えて特級ボイラー技士が用意されており、段階に応じて取得可能となっています。
ボイラーの専門家として働きたい人は、ボイラー技士の資格があると良いでしょう。
危険物取扱者
危険物取扱者は、消防法で定められた危険物を取り扱える国家資格です。甲・乙・丙の3種類に分けられており、甲種を取得すれば消防法で定められたすべての危険物の取り扱い作業が行えます。
特に宿泊施設や温泉施設では、浴場の湯を沸かすボイラーの燃料として重油を使用するため、危険物取扱者の資格を持つ人が重宝されるでしょう。
消防設備士
ホテルで働く場合、消防設備士の資格があると有利です。消防設備士は、ホテルに設置されている消火栓や火災探知機などの工事・保守点検を行える資格となっています。
大規模なホテルの場合は消防施設が欠かせないため、消防設備士が欠かせません。裏方として活躍したい人は、ぜひ消防設備士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
防火管理者
防火管理者は、ホテルなど一定の規模を持つ建物に必ず配置しなければならない国家資格取得者です。防火に関わる事項の管理・予防・消防活動を行うのが主な仕事となります。
ホテルによって防火対象物かどうか変わるものの、ある程度のホテルで働きたい人は防火管理者の資格もあると良いでしょう。
まとめ
ホテルマンとして就職・転職を考えている人は、業務に関連する資格を取得しておくと有利です。なかでも、ホテル業務に関する資格や語学に関する資格は役立ちます。
また、裏方として活躍したい場合は飲食に関する資格や施設管理に関する資格を取得しておくと良いでしょう。
ただし、資格を持っていても確実にホテル業界で働けるとは限りません。適切な求人を見つけ、自分の能力を発揮できる場所を見つけることが必要です。
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