公開日:2025年7月30日
最終更新日:2025年7月30日

宿泊業で働くうえで、さまざまな知識やスキルが必要となります。
これらを証明する方法として資格取得があり、「ホテル実務技能認定試験」もその一つです。ホテル業界で必須となる資格ではないものの、取得することで活躍やキャリアアップを目指せます。
学生や未経験者でもチャレンジしやすい資格であるため、ホテル業界の就職や転職を目指す方は、取得しておくと良いでしょう。この記事では、ホテル実務技能認定試験の試験内容や勉強方法、資格取得のメリットなどを紹介します。
ホテル実務技能認定試験とは?
ホテル実務技能認定試験とは、ホテル業界で必要とされる専門知識や実務スキル、語学力を認定する資格試験です。
「サーティファイ ホテル実務技能認定委員会」が主催している試験で、ホテル業界の基礎から実務の中心である宿泊、飲料、接遇、マネジメントまで幅広い知識と技能を評価します。試験の目的は、ホテル業界で即戦力となる人材育成と、サービス品質の向上を目指すことです。
就職・転職時のスキル証明や大学・専門学校・企業の教育ツールとしても活用されています。
ホテル実務技能認定試験の概要
ホテル実務技能認定試験は民間資格の一つです。
ここでは、試験の概要を解説します。
受験資格
ホテル実務技能認定試験の受験資格は、学歴や年齢などの制限がありません。
そのため、ホテル業界で働きたい方やスキルアップを目指す方、学生など、誰でも受験が可能です。受験方法には、個人で申し込む個人受験と、学校や企業単位で受験する団体試験が用意されており、ホテル業界未経験者でも挑戦できます。
資格の種類
ホテル実務技能認定試験には、初級と上級の2つの資格があります。
以下の表に初級と上級試験の特徴をまとめています。
| 資格区分 | 特徴 |
|---|---|
| 初級 | ホテルスタッフとしての基本知識や、料飲・宿泊の基本業務内容を理解していることが求められる。 |
| 上級 | ホテル業界の歴史や動向、料飲・宿泊の実務内容・食品衛生・施設管理など幅広い知識と高度な実務能力が求められる。 |
初級・上級いずれからでも受験でき、必ずしも初級から受験する必要はありません。両級とも出題形式は多肢選択式+記述式で、しっかりと準備をすれば、どちらも合格を目指すことができます。
試験内容
ホテル実務技能認定試験では、接遇、飲料、宿泊、語学、食品衛生、安全衛生、施設管理、関連法令、業界動向などが出題されます。
ホテル業務全般に関する幅広い知識と実務力が問われ、初級は現場の基礎力、上級は専門知識や実務対応力が重視されるのが特徴です。
初級は身だしなみやマナー、基本的なサービスをはじめ、職場のマナーや敬語の使い分けなども含まれます。上級はホテル業界の歴史やマネジメント、食品衛生、施設管理などの高度な内容に加え、クレーム対応や異文化理解など専門的な内容が多くなります。
試験時間・形式
ホテル実務技能認定試験の試験時間と形式は次の通りです。
| 初級 | 上級 | |
|---|---|---|
| 試験時間 | 60分 | 90分 |
| 問題数 | 70問 | 90問 |
| 出題形式 | 多肢選択式+記述式 | |
| 受験形式 | リモートWebテスト(在宅・在社)、団体会場 | |
公開試験はリモートWebによる在宅・在社試験が基本です。団体受験の場合は、会場でのマークシート方式も選択できます。各分野からバランスよく出題され、試験後1ヶ月を目安に結果が通知されます。
合格率
ホテル実務技能認定試験の合格率は、初級・上級ともに得点率60%以上で、合格率は60%〜70%ほどです。難易度は比較的低めであり、しっかりと対策をすれば十分に合格を狙うことができます。
なお、上級の方が出題内容は高度であるものの、初級と上級で合格率はほとんど変わりません。これは受験者の多くが業界経験者や十分な準備をしているためで、結果として初級とほぼ同水準になります。
そのため、合格率が同じでも初心者がホテル実務技能認定試験を受ける場合、難易度は上級の方が高くなる点に注意が必要です。
免除制度の有無
ホテル実務技能認定試験では、団体受験の場合のみ「科目別受験制度」があります。
これは宿泊・料飲など一部の科目だけを選択して受験できる制度で、各科目ごとに合格証が発行されます。科目別で両方に合格した場合、申請により初級または上級の認定を受けることも可能です。
科目別合格証は履歴書にも記載できるため、段階的なスキル証明として活用できます。忙しい社会人や学生が、自分のペースで資格取得を目指せることもメリットです。
一方、個人受験では全科目受験が原則となり、団体と違って科目別受験はできないため注意しましょう。
申込方法
ホテル実務技能認定試験の申込方法は個人受験と団体受験で異なります。
個人受験の場合はサーティファイ公式サイトの「資格受付ONLINE」からアカウントを作成し、申込期間中にWeb上での申し込みが必要です。申し込み時に必要事項を入力し、受験料をクレジットカードや銀行振込、コンビニ支払いなどで納付します。
申込完了後、受験票や試験案内がメールで届くため、指定された日時にリモートWebテストを受験します。試験開始時間は、指定時間内から選ぶことが可能です。
一方、団体受験の場合は企業の担当者が一括で申し込み、受験会場の申請も合わせて行います。どちらも申し込み期限が設定されているため、期限内に手続きを完了させる必要があります。
試験会場
ホテル実務技能認定試験の試験会場は、個人受験であれば、リモートWebテスト形式で自宅や勤務先などのインターネット環境が整った場所で受験できます。
団体受験の場合は、学校や企業が指定する会場での実施が可能であり、会場Webテストやマークシート方式が選択可能です。リモートWebテストではAIとカメラによる不正監視機能が導入されており、公平・公正な試験運営が行われています。
このように受験者のライフスタイルやニーズに合わせて柔軟に試験会場を選べる点も、ホテル実務技能認定試験の大きな特徴です。
受験費用
ホテル実務技能認定試験の受験費用は以下のとおりです。
| 初級 | 上級 | |
|---|---|---|
| 個人 | 6,700円(税込) | 7,300円(税込) |
| 団体 | 4,000円(税込) | 4,400円(税込) |
支払い方法はクレジットカード、銀行振込、コンビニ払いが利用できます。受験料の納付をもって申込完了となり、納付後の返金は基本的にできません。
受験費用には試験実施や合格証発行などにかかるすべての費用が含まれています。また、団体受験で科目別合格後に初級・上級認定を申請する場合も、追加の認定費用は発生しません。
ホテル実務技能認定試験の勉強方法
ホテル実務技能認定試験に合格するためには、どのような勉強方法があるのでしょうか。
ここでは、試験合格に向けた勉強方法の種類や特徴を解説します。
独学で合格を目指す
ホテル実務技能認定試験に合格する方法として独学があります。
独学での合格を目指す場合は、主催団体サーティファイが発行している公式テキストや問題集の活用がおすすめです。問題集には書籍版と電子版があり、分野別の練習問題や過去問が掲載されているため、勉強を通して自分の得意や不得意な分野を把握することができます。
また、分野ごとに出題範囲が広いため、公式テキストや問題集を繰り返し活用し、難しい専門用語や間違った問題はノートにまとめて復習すると効果的です。
独学の場合は1日1〜2時間の学習を半年ほど継続することで、未経験者でも十分に合格を目指すことができます。
専門学校や大学で学ぶ
専門学校や大学で必要な知識や実務を習得し、ホテル実務技能認定試験の合格を目指す方法もあります。
専門学校や大学では、カリキュラムの中にホテル業務の基礎から応用まで体系的に学べる授業や実習が組み込まれています。フロント業務や客室管理、料飲サービス、接客マナー、ホテル英語など、現場で必要となる知識やスキルを実践的に身につけることも可能です。
また、専門学校や大学は卒業時にホテル業界で即戦力となる人材を目指すことができ、就職活動でもアピールポイントになります。ただし、必ずしも専門学校や大学に通う必要はなく、これからホテル業界に転職したいという方も、独学や研修を利用して試験合格を目指すこともできます。
研修で学ぶ
ホテル実務技能認定試験は、企業やホテルが実施する社員研修を活用して合格を目指すこともできます。
多くのホテル企業では、業務に必要な知識や技能を体系的に習得させるために、試験範囲に沿った研修プログラムを用意しています。特に宿泊業界では新人研修や定期研修の一環として、資格取得を推奨され、実務経験と並行して学べる環境を整えているところも多いです。
このような研修体制が整っている企業やホテルに就職や転職をし、その中で試験合格を目指すというのも選択肢としてあります。
ホテル実務技能認定試験のメリット
ホテル実務技能認定試験には、短期的にも長期的にもさまざまなメリットがあります。
ここでは、具体的なメリットを解説します。
幅広い職種で活かせる
ホテル実務技能認定試験のメリットは、ホテル業界のさまざまな職種で幅広く生かせることです。
フロントクラークやベルスタッフ、レストランスタッフ、ハウスキーパー、コンシェルジュ、マネージャーなど、ホテルで働くほぼすべての職種で習得した知識やスキルが活かせます。
例えば、フロントやベルスタッフは、お客様のお出迎えや案内など、第一印象を左右する場面において接客マナーの高さや状況判断力が必要です。また、レストランスタッフであれば料理の提供やテーブルマナー、安全衛生、料飲に関する知識が欠かせません。
試験では、こうした場面に応じた適切な対応やマナー、コミュニケーション能力、知識を学ぶことができます。
就職・転職の能力証明になる
ホテル実務技能認定試験には、就職・転職の能力証明になるメリットがあります。
この資格は、ホテル業界で必要とされる実務知識やサービススキルを客観的に証明できる資格です。学歴や年齢の制限なく誰でも受験できるため、未経験者や異業種からの転職を希望する場合も、自身の意欲や基礎力をアピールできます。
実際、多くのホテル企業が採用時に資格保有者を優遇しており、就職や転職を有利に進めていくためにも取得しておくと便利です。
また、資格取得を通じて自分の得意・不得意な分野も把握できるため、自己分析やキャリアビジョンの明確化にも役立てることができます。
宿泊業に転職する魅力について、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
昇進・昇格の評価基準になる
ホテル実務技能認定試験は、昇進や昇格の客観的な評価基準として多くの企業で活用されています。この資格は、ホテルスタッフとしての基本的な知識や実務内容、さらには業界の歴史や動向への理解など、現場で求められる幅広い能力を証明できるものです。
企業によっては資格取得が昇進や昇格の条件、評価項目に含まれて、特に管理職やマネジメント職を目指す場合に重要となるケースもあります。また、資格取得を通じて自己学習やスキルアップの意欲をアピールでき、社内での信頼や評価も高まります。
このように、ホテル実務技能認定試験は、キャリアアップや管理職登用を目指す従業員にとって、実力を客観的に証明して将来の可能性を広げるために重要な資格です。
まとめ
ホテル実務技能認定試験は、ホテル業界で必要とされる幅広い知識や実務スキルを証明できる民間資格です。学歴や年齢の制限がなく、未経験者でも挑戦しやすい特徴があります。
独学や学校、企業研修など多様な勉強方法があり、取得すれば就職や転職活動、キャリアアップ、昇進の評価にもつながります。ホテル業界で活躍したい方や、スキルアップを目指す方にとって、有益な資格と言えるでしょう。
さらに、ホテル実務技能認定試験の資格を活かして、ホテル業界への就職や転職を目指す方には、宿ジョブの活用がおすすめです。多くのホテル企業が資格保有者を優遇しており、即戦力としてアピールできるため、宿ジョブを利用することで希望の職場に出会える可能性が高まります。
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